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木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン
平成18年2月
林 野 庁
1.趣旨

違法伐採は、地球規模での環境保全、持続可能な森林経営の推進にとって極めて重要な課題であり、我が国としては、これまで「違法に伐採された木材は使用しない」という基本的な考え方に基づいて取り組んできた。具体的には、違法伐採対策として、二国間、地域間及び多国間での協力推進、違法伐採木材の識別のための技術開発、民間部門における取組の支援等を実施してきたところである。

また、平成17 年7月に英国で開催されたG8グレンイーグルズ・サミットの結果、政府調達、貿易規制、木材生産国支援などの具体的行動に取り組むことに合意したG8環境・開発大臣会合の結論が承認され、我が国としては「日本政府の気候変動イニシアティブ」において違法伐採対策に取り組むことを表明したところである。

このような中、政府は、合法性、持続可能性の確認方法を整理し、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12 年法律第100 号)に基づく環境物品等の調達の推進に関する基本方針を改定することにより、合法性、持続可能性が証明された木材・木材製品を国及び独立行政法人等による調達の対象として推進を図ることとなった。

このガイドラインは、これらの状況を踏まえ、木材・木材製品の供給者が合法性、持続可能性の証明に取り組むに当たって留意すべき事項等を取りまとめたものである。

2.定義

本ガイドラインにおける用語の定義は、それぞれ以下のとおりとする。

(1)合法性

伐採に当たって原木の生産される国又は地域における森林に関する法令に照らし手続が適切になされたものであること。

(2)持続可能性

持続可能な森林経営が営まれている森林から産出されたものであること。

(3)森林認証制度

独立した森林認証機関が定めた基準に基づき、第三者機関が森林を経営する者の森林管理水準を評価・認証する仕組み。

(4)CoC(Chain of Custody)認証制度

森林認証を取得した森林から生産された木材・木材製品が、森林認証を取得していない森林から生産されるものと混じらないように適切な分別管理を行っていることについて、第三者機関が木材・木材製品を取り扱う事業者を評価・認証する仕組み。

(5)分別管理

合法性、持続可能性が証明された木材・木材製品が、これが証明されていないものと混じらないように管理すること。

3.木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明方法

木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明については、以下の方法が考えられる。

(1)森林認証制度及びCoC認証制度を活用した証明方法
[1] 概要

森林認証制度及びCoC認証制度は、持続可能な森林経営の行われている森林を第三者機関が評価・認証し、そこから生産された木材・木材製品を分別管理することにより、消費者が選択的にこれらを購入できるようにする制度であり、これを活用する。(▼参考1 PDFファイル 【約70KB】)

[2] 留意事項

合法性、持続可能性については、森林認証を取得した森林から生産された木材・木材製品がCoC認証と連結し、合法木材認定マークが押印された木材・木材製品、伝票等をもって証明されることが必要である。

(2)森林・林業・木材産業関係団体の認定を得て事業者が行う証明方法
[1] 概要

森林・林業・木材産業関係団体は、合法性、持続可能性の証明された木材・木材製品を供給するための自主的行動規範を作成する。自主的行動規範においては、合法性、持続可能性の証明された木材・木材製品の供給に取り組む当該団体の構成員についてその取組が適切である旨の認定等(例えば、分別管理体制、文書管理体制の審査・認定等)を行う仕組み、木材・木材製品を供給するに当たって留意すべき事項等を定め公表する。

具体的には、認定事業者が直近の納入先の関係事業者に対して、その納入する木材・木材製品が合法性、持続可能性を証明されたものであり、かつ、分別管理されていることを証明する書類(証明書)を交付することとし、それぞれの納入ごとに証明書の交付を繰り返して合法性、持続可能性の証明の連鎖を形成することにより証明を行う。(▼参考2 PDFファイル 【約70KB】)

[2] 留意事項
ア 基本的な留意事項

各段階における合法性、持続可能性の証明書には、対象木材・木材製品の品目、数量等の基礎的な情報に加えて、関係団体の自主的行動規範に基づき認定を受けた際に付与された番号(認定番号)を記載する必要がある。

イ 伐採段階の留意事項

伐採段階においては、アの基本的な留意事項に加えて、原木の伐採箇所を記載するとともに、合法性、持続可能性の証明を次のように行う必要がある。

(ア)合法性については、伐採に当たって原木の生産される国又は地域における森林に関する法令に照らし手続が適切になされた旨を証明書に記載すること。

(イ)持続可能性については、原木が持続可能な森林経営が営まれている森林から産出されたものである旨を証明書に記載すること。

ウ 加工・流通段階の留意事項

加工・流通段階においては、アの基本的な留意事項に加えて、納入する製品は合法性、持続可能性の証明がなされたもの又はその証明がなされた材料を使用して製造されたものである旨を証明書に記載する必要がある。

エ 納入段階の留意事項

納入段階においては、調達者等の要求により、アの基本的な留意事項に加えて、納入する木材・木材製品は、合法性、持続可能性の証明がなされたものである旨を証明書に記載する必要がある。

オ その他の留意事項

(ア)合法性、持続可能性の証明は、証明書に必要な事項を記載して行うものとする。ただし、証明に必要な事項を納品書等に記載することで証明書に代えることができる。

(イ)証明書の記載事項の一部と同様の事項が記載されている既存の書類(納品書等)の写しを添付することにより、証明書における同事項の記載を省略することができる。

(3)個別企業等の独自の取組による証明方法
[1] 概要

規模の大きな企業等が上記(1)又は(2)の方法によらず、独自の取組によって森林の伐採段階から納入段階等に至るまでの流通経路等を把握した上で証明を行う。(▼参考3 PDFファイル 【約70KB】)

[2] 留意事項

合法性、持続可能性については、森林・林業・木材産業関係団体の認定を得て事業者が行う証明方法と同等のレベルで信頼性が確保されるよう取り組む必要がある。

4.証明書の保管等

事業者は、証明書を一定期間保管することとし、その証明の根拠を求められた場合は関係書類等を提示できるようにしておく必要がある。

5.取組状況の検証と見直し

本ガイドラインについては、森林・林業・木材産業関係団体、学識経験者、環境NGO等で構成される協議会を設け、環境物品等の調達の推進に関する基本方針に基づく国等の調達に対応した木材・木材製品分野における関係者の取組状況を検証し、必要に応じて適切な見直しを行う。